不滅の恋人~君だけを想う~

深淵の叫び



 その日、サロンがお開きとなった後、就寝前にフローラは夫をなじった。

「どうしてあんなことをしたの?」

「あんなこととは?」

「ジュラ殿に初見演奏させたことよ!」

睨みつければレオンハルトは、ばつが悪い表情をした。

「ああ…正直に白状しますと、悪意を持ってやりました。彼が断らないだろうとわかっていて苦手そうな曲を弾かせたんです。彼なんて、貴女の前で恥をかけばいいと思いました」

「そんな、酷いわ…!」

責められたレオンハルトの瞳がギラリと光る。

彼は溜めていた怒りを吐き出した。


「酷いのは貴女だ!フローラ!」


怒鳴られてビクリと脅える妻の身体を、彼は痛い程きつく抱きしめる。

「貴女は彼の演奏ばかり好んで、僕の曲などちっとも聴いて下さらない…!」


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