不滅の恋人~君だけを想う~
「聴いているじゃない……いつも」
「聴いてませんよ。貴女が自身の魂で僕の音を聴いたことなど、一度もないっ…」
自分ばかりがフローラを好きで、彼女からは自分が望むだけの愛情は返ってこない。
それでいいと思っていた。
満足していたのだ。
しかし、ジュラ・エーデシュが現れた。
彼はフローラの瞳を、耳を、心を、魂を、いともたやすく自身に引き付けてみせた。
ここで初めて、レオンハルトは恐怖する。
妻を――フローラを失う恐怖。
いずれ自分など見向きもされなくなり、捨てられてしまうのではないか。
執着や愛が乏しいゆえ、彼女は簡単に離婚を言い出しそうだ。
そして、フローラはジュラと――。
そこまで考えてレオンハルトは自分の被害妄想を嘲笑う。
考え過ぎだ。