不滅の恋人~君だけを想う~
けれど、いくら自嘲してみても不安は消えない。
不安で不安で不安で、どうしようもない胸の内。
激昂しそうになるこの深淵の想いをフローラに知ってもらいたい。
「……だから、何が何でも聴かせたかったんです。ジュラ・エーデシュが弾くなら、聴いて下さるでしょう?それがたとえ僕が書いた曲であったとしても」
抱きしめる力を緩め、二人は見つめ合った。
「あのエチュードは僕の今の心情です。迸るような貴女への感情が抑え切れません…!」
そして、心をぶつけるようにフローラの唇を貪る。
わからせたいのは一つの真実。
「貴女を愛しています…」
言葉の裏に隠された真の意味は「僕を捨てないで」。
懇願の響きを感じ取ったものの、フローラは返す言葉が見つからず、ただそっと夫の背中に両手を回した。