不滅の恋人~君だけを想う~

どうやら愛するフローラとの会話で幾分機嫌は直ったようだ。

実はここに来るまでにファンの女性達から握手だのハグだのを迫られ、笑顔で額に青筋を浮かべていた彼。

ファンは大切だがうっとうしいのも事実で、扱い方にいつも困るとのこと。

ジュラなら心から喜んで握手やハグに応じるが、レオンハルトは彼女達との馴れ馴れしい付き合いを嫌っていた。


「ここですね」

楽屋に到着し、ドアを開ける。

すると中には練習用のピアノで一人、指を動かすジュラの姿があった。

「あ、来たね」

レオンハルトとフローラを目にし、練習を中断する。

「他の演奏者達はどうしました?」

「別の控室で弾いてるよ。みんな自主練中。君も弾いとく?」

「いえ、大丈夫です。自宅でウォーミングアップはしてきましたから」


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