不滅の恋人~君だけを想う~
「そっか。なら俺が使わせてもらうよ」
「どうぞ」
再びピアノの前に座るジュラ。
そんな彼にフローラは近寄った。
「ねえ、私達が入ってきた時、何の曲を弾いていたの?初めて聴く曲だったわ」
先程まで奏でられていた、暗く切なげなメロディー。
派手さを得意とするジュラにしては珍しく落ち着いた大人の雰囲気の曲だった。
「ああ、さっきのね。あれは最近書いた曲でさ…《ロマンス》っていうんだ」
タイトルを言うと、彼は冒頭から弾き始めた。
「出だしのメロディーは単旋律。重ねてもオクターブのみ。技術的には簡単すぎるけど、その分俺の感情をこめるんだ」
三分程度の短い《ロマンス》。
ジュラはそれをフローラの前で感情をこめて弾いてみせた。