不滅の恋人~君だけを想う~

恋しいと囁かれてフローラの頬が薔薇色に染まる。

丁度その時、レオンハルトが楽譜を抱えて二人のもとへ近づいてきた。

「あ、準備できた感じ?」

「はい。貴方はどうなんですか?今日の調子は?」

「俺はバッチリ!だから練習場所譲るよ。遠慮なんかいらないから。ほら、座って座って!」

「うわっ…!」

無理矢理ピアノの前に座らされ、レオンハルトは溜息をついた。

それから徐にフローラを見つめる。

「ではフローラ。お言葉に甘えて僕も少し指を動かしますから、貴女は客席の方へ…」

「わかったわ。頑張ってね」

夫の頬に軽いキスを送り控室から出る。

すると、ジュラも部屋から廊下へ出て来た。

「席に行くなら俺が途中まで連れてってあげるよ」

「あっ、ありがとう」

突然の申し出に胸が高鳴る。

思いがけず二人きりになりフローラはチラチラとジュラの顔を見つめた。

「ふふ、俺の顔がそんなに好き?」

「えっ!あの、別にそういうわけじゃ…!」

「素直じゃないなぁー。目は口ほどに物を言うんだよ?しかも言葉と違って嘘がつけない」


< 54 / 73 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop