不滅の恋人~君だけを想う~
「たとえフローラ嬢に夫がいようとも、俺は自分の胸に嘘なんかつけない。だから、奪うつもりで君に決闘を申し込むよ」
「決闘?下らないですね。彼女はすでに僕の妻です。諦めて他の女性を口説いて下さい」
冷めた目のレオンハルトをジュラは余裕の表情で見つめ、ニヤリと笑む。
「怖いの?俺に負けるのが」
「そんなわけないでしょう。無駄だと言っているんです」
「そんなの、やってみなきゃわからないじゃん」
癪に障るジュラの笑みを睨みつつ、レオンハルトは溜息を吐き出した。
「強情な人ですね。わかりました。良いでしょう。決闘でも何でも、ご自由に」
その言葉を聞いて満足したジュラ。
彼は名残惜しげにフローラを離すとライバルに向き合った。
「じゃあ、明日。君の屋敷でやろう。決闘の方法は演奏だよ」
「……ピアノの決闘ですか。面白いですね」
男達の間で勝手に話が進む中、フローラに口を挟む権利はないように思われた。