不滅の恋人~君だけを想う~
「ありがとうございます。少しでも貴女の心の慰めになれば幸いです」
ニコリと笑う彼にフローラも笑顔を返す。
「ピアノがとてもお上手なのね。素晴らしい演奏だったわ」
「ああ、知りませんか?僕のこと。上流社会ではちょっと有名なんですが。この顔をサロンで見たことなどは?」
問われてジッと青年の顔を見つめるが、思い出せずにフローラはうなだれた。
「ごめんなさい…。記憶にないわ」
「謝らないで下さい。構いませんよ」
クスリと微笑され、フローラの頬に赤みがさす。
「ピアノは弾けますか?」
「嗜む程度には…」
「結構。では隣へどうぞ」
スッと手が差し出された。
驚いて青年の顔を見上げると、優しい瞳と視線が交わる。
「ここからは言葉は無用です。音楽で語り合いましょう?」