不滅の恋人~君だけを想う~
フローラの想い
チャリティーコンサートは観客を大いに沸かせて無事終了した。
始まる前は火花を散らしていた二人がフローラはとても気掛かりだったが、流石プロ。
彼らの演奏に動揺や苛立ち、焦りなどは微塵も感じられなかった。
「コンサートが成功して良かったわ」
屋敷へ帰ってきたフローラがお世辞でも言うように夫に話し掛ける。
レオンハルトは何の感情も読み取れない瞳で隣にいる妻を見た。
そして唐突に、彼女の核心を突く。
「フローラ、貴女はジュラ・エーデシュのことが好きなんですか?」
フローラは静かに目を見開き、レオンハルトを見返した。
責める気もなければ悲嘆に暮れる様子も見せない彼の表情はどこか不気味で、なんて答えようか迷ってしまう。
迷った末に彼女は正直な想いを曝そうと決めた。
「ええ。好きよ」
一つの問いに答えを返せば、レオンハルトが次の問いを落としてくる。
「婚約者だった彼よりも…ですか?」
ヴァーノンのことを言われ、フローラは困った顔で微笑んだ。