不滅の恋人~君だけを想う~
不意打ち
冬が近づくにつれ、日が暮れるのは早くなる。
そろそろ夜の八時になろうとする現在、暗くなったパリの街の一角にある安い酒場でジュラは仲間と飲んでいた。
大成功したチャリティーコンサートの打ち上げだ。
会場で解散する前、ジュラはレオンハルトも一緒にどうかと誘ったのだが、流石に明日の決闘相手と飲みたいとは思わないらしい。
素気なく断られてしまった。
「ほら、もっと飲めよ!まだいけるだろジュラ!」
ヴィルトゥオーソであるピアニストの一人、大柄なジョルジュが酒を片手に大声を出す。
赤ら顔の喧しい客が多い中で、ジュラは素面のように落ち着いていた。
「ん~。俺はそろそろ、やめとこうかな~」
苦笑いして椅子から立ち上がるジュラを別の仲間が首を傾げて見つめる。
「もう帰るのか?いつもより早いな」
「うん。ちょっと明日、だ~いじな予定があってね。二日酔いでぶっ倒れでもしたら大変でしょ?」