不滅の恋人~君だけを想う~
《地獄で見た愛の夢》
翌日は晴天だった。
まるで今のフローラの心のように晴れやかな空。
しかし、レオンハルトは正反対の憂鬱に苛まれていた。
もし今日、ジュラがフローラに自分の犯した罪を話したら、どうなるか。
身の破滅を想像してレオンハルトは身震いした。
絶対に言わせてはならない。
始終フローラの傍にいてそれらしい会話になったら阻止しなければ。
そのためだけに彼はついて来たのだ。
「あら?誰もいないわね」
指定された会場を訪れた二人は客席へと進んだが、まだ誰も来ていないことに驚いた。
「時間を間違えましたか?」
「それはないと思うけど…」
持って来た招待状をフローラが確認していると、突然ステージが明るくなった。
そして、舞台袖からジュラが登場。
彼は怪我をする前と何ら変わらない堂々たる足取りで中央に置かれたピアノへと向かった。