不滅の恋人~君だけを想う~

「ジュラ!」

思わず彼のもとへ駆け出そうとしたフローラをレオンハルトが捕まえる。

ジュラもそれで良いというようにステージ上で微笑んだ。

「ようこそ。ジュラ・エーデシュの復帰リサイタルへ。今日は君達二人だけしか招待してないから、テキトーに座って気軽に楽しんで」

そう言ってお辞儀をすると、ジュラはピアノの前に腰掛けた。

「今日は復帰祝いに一つ新曲を披露するよ。曲名は《地獄で見た愛の夢》」

ジュラの指が鍵盤に乗る。

瞬間、彼の纏う空気が変わった。

演奏家のジュラ・エーデシュが現れる。

どんな派手なメロディーが来るのかドキドキしていたフローラだったが、意外にも出だしは優しく甘やかな旋律だった。

そう、まるでレオンハルトが得意とする詩的で夢見るような美しいメロディーライン。

地獄という言葉が入っているタイトルからは想像もつかない、それは天国の調べ。


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