不滅の恋人~君だけを想う~
「この曲はフローラ嬢に捧げるよ」
「私に?」
「うん。死ぬかもと思った時、君の夢を見てたんだ。愛しい、君の夢」
フローラにふわりと微笑んでからジュラはレオンハルトを見つめた。
「レオンハルト、俺から君に言うことは何もないよ。ただ……できることなら、君とはライバルである前に同じ演奏家として、仲間でありたいんだ。今更…無理、かな?」
君が俺を刺した犯人だ!とは言わずに、この台詞。
「……完敗ですね」
レオンハルトは自嘲気味に口角を上げ、息を吐き出した。
「懐が深過ぎますよ馬鹿野郎」
もっとあくどい奴ならばこちらも遠慮はいらなかったのに、と思わずにはいられない。
「馬鹿野郎は酷いなー。俺が馬鹿なら君は大馬鹿野郎だよ」
「ハハッ…そうかもしれませんね」
そう言って苦笑するレオンハルトの青い瞳にはもう、先程までの憂いはなかった。