不滅の恋人~君だけを想う~
不滅の恋人
それから数日経ったある日、フローラはレオンハルトから突然こう切り出された。
「今日でお別れです」
「え…?」
「こちらにサインをお願いします」
差し出されたのは離婚届。
驚いて目を丸くするフローラをレオンハルトは不思議そうに見つめた。
「どうしましたか?これをお望みだったのでは…?ここにサインすれば貴女は僕から解放されます。ジュラを愛しているのなら、彼と共に歩むことができますよ」
「いいの…?」
「それを聞くのは狡いですよ。僕の愛しい残酷な天使」
愛情を持ってフローラを見つめるレオンハルト。
「さあ、サインを」
促され、フローラはゆっくりとペンを握った。
躊躇いがないと言ったら嘘になる。
ヴァーノンが死んだ後、確かにレオンハルトは彼女の慰めとなってくれたのだから。
けれど――。
(ジュラ…)
思い出すのは翡翠の瞳。
ジュラの顔がちらつく。
愛の囁きが、奏でられる旋律が、恋しい。
愛おしい――。