不滅の恋人~君だけを想う~
フローラがサインをし終わった時、レオンハルトは部屋の扉に向かって呼び掛けた。
「入って来て下さい。ジュラ」
「はいはい。こんにちは」
「ジュラ!?」
まさか来ていたとは知らず、フローラが嬉しさで顔を綻ばす。
駆け寄って見つめ合う二人。
レオンハルトは切なげな溜息を漏らしてフローラへ近づいた。
「フローラ。妻でなくなっても、貴女は僕の不滅の恋人です。愛してます」
彼女の手を取り、甲に口づけを。
そしてレオンハルトは部屋から出て行った。
「俺を選んでくれるの?」
退出するレオンハルトの背中をずっと見ていたフローラにジュラが問い掛ける。
フローラは彼に向き直った。
「ええ。貴方が好きよ」
「でも俺、貴族じゃないから…その…」
「今更、何言ってるの?爵位なんてどうでもいいわ。貴方といられるなら、今の身分を捨てても構わない」
フローラの真剣な眼差しを見てジュラは晴れやかに笑った。
「ありがとう…!君の言葉、スゴク嬉しいよ」
頬にキスをして彼女を抱きしめる。
「これから俺、祖国ハンガリーで演奏旅行しようと思うんだ。またパリに戻って来るつもりだけど数ヶ月先になる。ついて来てくれる?」
「ええ、もちろん!」
フローラは有りっ丈の愛情をこめてジュラを抱きしめ返した。
【END】