RMV~ルームメイトはヴァンパイア




私の机に顎を乗せ、体育座りのような格好で私をキラキラした、何かを期待したような視線を送ってくる瑞希…。




「ん?」



「どうだった?」



「何が?」



「王……」

「待って瑞希…ここ学校。
後でお昼休みにでも話すから!」



こんな教室のど真ん中で、皆ガヤガヤしてる中アイツの話題は勘弁して欲しい。



学内では学園王子などと呼ばれている似非王子な訳で…。


本性は俺様鬼畜だけど…。




「あっ!ごめん!そうだよね!
そしたら、お昼休みたっぷり聞かせてね。
そういや、私…1時間目体育だったんだ!
またね。千愛。」



瑞希はそう言うと、慌てて教室を出て行った。




「本当、せわしないな…。」



私と瑞希はクラスが違う。


瑞希は普通クラスで、
私は特進クラス。



特進クラスは成績上位10名は一年学費半分。
1位は、一年全額免除という特典が我が校にはついている。



普通クラスももちろ特典はある。
上位10名は学食一年間半額。
1位は学食一年間無料らしい。



その学費免除の特定につられ、瑞希が入学すると言っていたこともあり、私はこの夜風学園に入ったのだ…。



でも特進で1位キープはなかなか難しく…一年の時は、首席入学だったので、学費全額免除だったが…


一年間の試験のトータル点数で、決まるのだが…一年二学期の期末試験。
ダメ親父のせいで私は体調を崩し高熱ある中挑んだテストはひどい結果だった。


そのせいで、惜しくも3位になってしまい、今は学費半分負担なのだ。


だから、私は2年生の今年こそは1位奪還し、三年の学費免除を取り返したかった。



瑞希以外に友達のいない私は、休み時間は基本的に授業の予習、復習に費やす。


平日はバイトがあるし、自宅学習をする時間は限られているから…。


基本的に、他人のことには興味がないので今まで気づかなかったのだか…


この学園でのアイツ…夜風千陽の人気は予想を絶するものだった。


女子ももちろん…男子にも憧れからの人気があるようで…。


「王子」や「生徒会長」と言う単語に昨日の今日で、無意識に反応してしまうのだ。



どうやら、夜風千陽は入学当時から学年首位をキープしており、スポーツ神経も抜群で、いろんな部活の助っ人をしているらしい。


人望もあつく、先生からの信頼はもちろん学校近辺の社会福祉活動やボランティアなどにも参加しているようだ…。


家柄も、父親は世界的に有名なホテル王。母親が富裕層ターゲットのマンションを各国に展開している。
親族も医者や、弁護士や政治家と、とんでもない権力者ばかりらしい。この学園もそうだ。



そう言えば、アイツのマンションも…「母が経営している」とか言ってたな…。

富裕層ターゲットのマンション…すごく納得した。
マンションなのに、メイドやボーイの在中に…マンション内の充実しすぎた施設…。
それはマンションというより、一流ホテルそのものだったから。



何も知らずに聞いていると、本当にパーフェクトで王子と呼ばれる所以に納得がいく。



でも私は本性を知っている。




俺様鬼畜で…第一人間じゃない!



ヴァンパイア。


人の血を啜り、人の命をなんとも思わない、冷酷の生き物…。




皆、騙されてるよ!




そう教えてあげたかった。


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