RMV~ルームメイトはヴァンパイア
放課後…。
私は学校が終わり、バイトに行くため帰り支度をしていた。
私の席は窓側にあって…なんの気なしに覗いた窓の外の光景に驚愕した。
「…なんで。」
そこには、放課後の人影のほとんどない体育館と校舎を繋いだ渡り廊下で話をしている、
夜風千陽と瑞希。
「アイツ.....瑞希には手を出さないって言った癖に!!」
私は、急いで校舎裏に走った...。
瑞希に何の用?
何する気?
頭の中にいろんな良くないことが浮かんでくる...。
「瑞希っっっ!!!!」
私は瑞希が視界に入った瞬間、大声で叫んだ。
「うわ!千愛!
何?どうしたの?!
そんな息切らして...。」
いつもの、柔らかい表情の瑞希の顔を見て安堵する。
「な、なにも...されてない??」
私は息途切れ、途切れに瑞希に問う。
「へ?何のこと?
先輩がね、昨日私を夜に1人で帰らせてしまったからって、わざわざ謝りに来てくれたんだよ。
先輩本当優しいよね。」
よかった...。
何もなかったんだ...。
「ちょうど、下校途中の瑞希ちゃんを見かけてね...。
思えば瑞希ちゃんも昨日泊まって貰えばよかったなって思って、謝罪をしていたんだよ。
月野さんはそんなに息を切らして...どうしたの?
まさか、僕が昨日...瑞希ちゃんの事を食べたくなるくらいに、可愛いって言ったことを本気にして慌てて走って来たのかな?」
「えっ!!?」
「.....…。」
顔を赤らめる瑞希に反して、家とは全く違う態度の夜風千陽に嫌悪感すら感じる…。
瑞希を泊める気なんてさらさらなかった癖に....。
しかもいつの間に「瑞希ちゃん」とか言ってんの?
コイツの場合、食べたくなるって…洒落になってない…。
私が瑞希を身を案じて全力疾走した事をコイツは分かって聞いてるんだ…。
本当に意地が悪い。
「いえ…。瑞希と先輩が見えたので寄っただけです。
瑞希...途中まで一緒に行こ?」
そう言って、夜風千陽に背を向け、瑞希の手を引き歩こうとする。
「ちょっと!千愛ー!
なんで先輩にそんな態度なのー?
失礼だよ...」
そう私に言いながら、瑞希は律儀に振り返りアイツにお辞儀をしていた。
瑞希はアイツの本性を知らないから...。
本当はすぐにでも全てを言いたいけど...。
一秒でも早く、瑞希とアイツを離したい。
「あっ!月野さん!待って!」
さっさとこの場から離れたいのに、夜風千陽が話かけてくる。
「...何ですか?」
「さっき、瑞希ちゃんにも言ったんだけど...、まだ瑞希ちゃんの家にお邪魔して間もないんだってね?
せっかくのゴールデンウィークだ、明日でなく5日の夕方に迎えに行くよ。
だから、彼女とたくさん楽しんでおくといいよ。
じゃあね。」
それだけ言い残し...、夜風千陽はまだ学校に用があるのか、校舎へと戻って行った。