臆病な私でも恋はできるのか。
こんな状況でまともに授業が受けられるはずもないと、残りの1時間も保健室にいることにした私たち。
「まず、お互いのことを知らないといけないよね」
保健の先生に気づかれないようぼそぼそと小さな声で話す。
「そう…ですね」
「えっと、沙織ちゃんは家はどの辺り?」
そう言われ、持ち歩いていた学生手帳に簡単に地図を書いて渡す。
「家族と…だよね?」
「はい…あ、でも…父は海外で母は夜まで帰ってきません」
「そうなんだ」
小さい頃は少し寂しかったけれど、今ではひとりきりの時間にも慣れてしまった。