臆病な私でも恋はできるのか。
「あ、それで、聞くの忘れちゃってたけど沙織ちゃんは大丈夫なの?親御さんに連絡してないけど」
「あ、大丈夫です!割と放任主義なので…」
「そっ…か。よし!じゃあ、荷物まとめに行こっか!」
「えっ!でも、その…まだ入居させてもらえるかどうか…」
歩き出した柊くんの服を摘んで引き止める。
すると、くるりと振り返った柊くんが、
「大丈夫でしょ!沙織ちゃん可愛いから!雪柳さんが逃すはずないよ!」
そう言ってにこやかに笑う。
「か…かかか可愛いなんて…!」
お世辞にもほどがあります!
「可愛いよ!もっと笑えば良いのにっていつも思ってたんだ!」
「い…いつも?」
「あ、いや、いつもってところは忘れて!」
「わ、わかりました」
なんだか少し焦った様子の私の姿をした柊くんに腕を掴まれホームルームの終わった頃合いを見計らって教室にカバンを取りに戻った。