臆病な私でも恋はできるのか。
押入れから修学旅行の時に使ったキャリーケースを取り出す。
柊くんがこちらを向いていない隙にテキパキと下着を詰める。
取り敢えず数日分あれば…なんとかなるよね…って、これ隠したところで柊くんが履くんだよね…
柊くんの姿をした私が女の子の下着を堂々と触っているのだと思うとなんだか可笑しくなってくる。
家具は大体揃っているそうなので、柊くんにも手伝ってもらいながら、ホテルにでも泊まるような感覚で荷造りをした。
「あ、そういえば…お母さんに連絡しておいた方が良いよね?」
不意にそう聞かれ、どうかなと少し考える。
流石に、放任主義だからといって、何日も無断で家を開けるとなると流石に心配するだろう。
「置き手紙で良いです」
「え?本当に?電話とかで確認しなくて良いの?」
「…はい」
心配そうに見られ、ぎこちない笑顔を浮かべておいた。