臆病な私でも恋はできるのか。
「よし、じゃあこれで一度見に行ってまた戻って荷物を取りに来るなんて手間は省けたね」
「そ…う…ですね」
本当にあんな写真一枚で…?
半信半疑で、荷物を取り、置き手紙に“社会勉強のため少しの間家を出ます。”とだけ書いておいた。
仕事なんかで私のことを放って置いているかわりに、毎月机の上にお金が置いてある。
それはかなりの額で、遊びにも行かない私はお金がどんどん溜まっていた。
今から向かうところの家賃は払えるはずだし、足りなくなればバイトをすれば良い。
金銭面は安心だ。
でも、そんなことを考えているのがなんだか寂しくなった。
いつ戻れるか分からない体になる前にもう一度お母さんお父さんと三人でご飯を…
ううん、やっぱり良いや。
家族のために働いてくれているのだ。
もうそんなことを考えるのはやめにしよう。