臆病な私でも恋はできるのか。
「俺が少しも待てないような男だと思ったの?」
「え?えっと…」
「彼女の背中も押してあげられないような男だと思った?」
「あの…」
「俺は、沙織ちゃんが好きだよ。これからもずっと。一生会えないわけじゃないでしょ?行っておいでよ」
少しでも別れを切り出されるかもと考えた自分が恥ずかしくなってきた。
そうだ。彰人くんはこんな人だ。
とっても心が広くて私を支えてくれる。優しい人だ。
「ありがとう…彰人くん…私も好きです」
そう言うと隣から伸びてきた腕の中にいつの間にか私は包まっていた。
彰人くんの暖かさ…それに匂い。
落ち着いたのは言うまでもない。