臆病な私でも恋はできるのか。
「おはよう…」
朝、リビングに向かうとお父さんがむすっとした顔でコーヒーを飲みながら座っていた。
「とりあえず座りなさい」
「え…はい」
何、怒ってる?
「沙織…もしかして彼氏いるのか?」
コーヒーのカップを置き、真剣な顔でそう聞いてきた。
うげっ…
「もしかして…聞いてたの?昨日の…」
「聞こえるに決まってるだろう。もうちょっと隠すなら小さな声で話して欲しかった。昨日は本当に心が痛かったんだぞ」
「ご、ごめんなさい。隠す気は無かったの…ただ、言う機会が無かったというか…」
お母さんも伝えていなかったのかと驚きつつ、どうすれば誤魔化せるかということばかり考えていた。