臆病な私でも恋はできるのか。




電話のコールが響く。

ドクドクと心臓が波打つ音が聞こえる。



「もしもし」


出た!



「あ、あの、もしもし?」


「どうしたの?」


「いや、どうしてるのかなって思って…もうすぐ帰れるじゃない?それが待ちどうしくて…」


ここまで来てまだ嘘をつくのは驚かせたいから。


「んー?暇だから家に居たけど…何?声が聞きたくなったの?」


「うん…ねぇ、私の部屋ってまだ空いてるの?」


「当たり前でしょ。沙織ちゃんが家を出てからの雪柳さんのこと…知ってるでしょ?」


雪柳さんは、私が出て行くことの後押しをしたのは自分なのにいざ出て行くとなると寂しすぎて辛いと毎日嘆いていたらしい。

早く会いたいと彰人くんより口にしていたらしい。
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