藤色関係もよう



「「お誕生日おめでとう!!」」


いつも練習の後に行く居酒屋じゃなくて、ちょっとおしゃれなダイニングバー。
あゆちゃんにはナイショで鈴ちゃんと予約した。



「ありがとう、こんなきちんと祝ってもらえると思ってなかったよ、びっくりした~」


あゆちゃんがにこにこしている。
わたしも嬉しい。


「去年は結成したばっかりだったから、今年は結成二年を含め、いつもより豪華にやりたいねって奈緒子さんと言ってたんですよね。
わたしと歩の時はそういう気のきいたこと全然思い付かなくって、奈緒子さんにちょっと申し訳ないです。」

と鈴ちゃん。


「ええ、鈴ちゃんそんなこと考えてたの?全く気にしてないよ、私がイベント好きでやってるの、自己満足だよ。て言うか、二人とも祝ってくれたじゃん!」


鈴ちゃんは、大学三年生、わたしの二つ下で頭の良くて、賢い後輩。

彼女の担当はドラム、とても正確で私とあゆちゃんを見ながら曲全体のスピードや音の強弱のバランスをとってくれるしっかりした子だ。

そして、そんな真面目な性格に似合わずー失礼かな?ー
抜群のセンスを持った歌詞を彼女は描いてくれる。

彼女の書く歌詞はまるで物語のようで、

可愛かったり、切なかったり、
苦しかったり、幸せだったり、面白かったり、

私も歌っているうちに感情移入してしまう。

私はそんな鈴ちゃんと鈴ちゃんのドラム、鈴ちゃんの創る歌詞が大好きなのだ。




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