藤色関係もよう




あ、もうだめだ。



あゆちゃんがうーん、といって飲み物に目を向けたまま、こちらを見てくれない時、
それはもう話したくないという合図。


もうこの話はおしまい。


話題を変えよう。




それからは、最近サークルで起こった面白い話を聞いたり、私の職場の愚痴、
あとほとんどはバンドの話し。


今の曲が終わったらどんな曲をやるか、
今使っているスタジオより、安くて予約の取りやすいスタジオを見つけたとか、
今度のライブのセトリを決めたり、
鈴ちゃんの曲作りのノートを見せてもらったりー鈴ちゃんの書く歌は本当に良いー、


そんな感じで結局いつも通りの飲み会をして、
最後にはあゆちゃんにプレゼントを渡してーWacoalの下着、上下セット、Tバックのえっちなやつ、
あゆちゃんは彼氏いないから次のライブで履くって言ってくれたー、
いつも通りバイバイと言って別れる。


バンドの練習が終わって、
大抵ご飯を三人で食べて、バイバイして、
私は学校の近くに住む彼氏の家に向かう。



ー ピンポーン ーー

ガチャリ、と鍵が開いて、

「おつかれさま、」

と彼が言ってくれる。


「ただいま!」

とここに住んでいるわけではないけど、そういって、彼、ふーたに抱き付く。


< 13 / 28 >

この作品をシェア

pagetop