藤色関係もよう
「ふーた?」
奈緒子が起きたようだ。灰皿に煙草を押し付け換気扇は廻したままで、
冷蔵庫から水をとって、キッチンからベッドへ戻る。
ベッドの上で白い布団に奈緒子はくるまって横になり、ぼーっとしていた。
奈緒子が横を向いている方と反対の、ベッドの端に腰掛ける。
「たばこ?」
そう言いながら振り返り、上半身だけこちらを向く。
「うん、臭いする?」
「すこし、いつものふーたの匂いがする。」
「俺の匂いじゃないよ、煙草の臭い。」
と苦笑い。
「ううん、ふーたん家のシャンプーの匂いとか、洗剤とか、ふーた自身の匂いとか、いつも吸ってる煙草の臭いとか、色々混ざっていつものふーたの匂いがする。」
「そう?自分の匂いってあんまわかんないな、臭(くさ)い?」
「、、、ちょっと、」
「え、うそ、」
結構ショックなんですけど、
「あはは、うそ。嘘だよ、すっごく落ち着くよ。」
冗談冗談と、ケラケラしながらこちらの方へ完全に身体を向ける。
全然反省してないな、こいつ。
それどころか馬鹿にされている。