藤色関係もよう


二人での練習が終わったあと、鈴音は実家暮らしのため家が遠いので、帰っていった。


サークルの溜まり場にいくと、一つ下の後輩たちが何人かいて、

その内の一人が丁度帰ろうとしていたので、一緒に夜ご飯を食べることにした。


学生はお金がない。ましてバンドなんて本格的にやってしまうと、バイトをしてもなかなかお金は貯まらなくて、

今日のご飯は回転寿司だ。


「「お疲れさま」」
と言って、回転寿司を注文する電子機器に釘付け。


「歩さん、寿司好きなんですね。」と後輩の男の子に笑われた。


「お腹空いたんだよ、ばかにしてるよね?」
と、ちょっとむっとしながら甘えびを注文。


「いやいや、ばかになんてしてないですよ!あ、おれ玉子で」


この前別れた人も回転寿司来ると、一番最初に玉子食べてたな~、なんて考えながら注文する。

目の前で寿司がぐるぐるまわっているからどんどんお腹が空いてくる。

サーモン食べるか。手を伸ばす。


「今日練習してるところ、少し見えましたよ。学祭に向けてですか?」


「うん、まあね。」

あんまり練習してるところは見られたくないんだけどなあ。


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