藤色関係もよう


「奈緒子さんいませんでしたね。」


「ああ、今日ね、」
風太郎先輩の誕生日だから帰らせた、と言おうとしたとき、


ちゃかちゃかと後輩の着信音。

ちょっとすいませんと電話に出てトイレの方へ行ってしまった。


丁度注文した甘えびと玉子が届く。
こいつの玉子も食べてやろうかと箸を一人分だけ手にすると、



「おれも混ぜて、」

ここにいるはずのないひとが、四人用のテーブル席のわたしの側へ腰を下ろしてきた。



「え、?今日は奈緒子と一緒じゃないんですか?先輩。」



「うん、ちょっと寄り道。」


詰めて詰めてと手で催促され、奥に追いやられてしまった。

「反対側に行けばいいじゃないですか。大輔ですよ。」


「知ってるよ、反対側に行ったら俺が奥になっちゃうじゃん。奥は嫌いなの。」


なんでこの人はこんなにふわふわしてるんだ、、、


いつでも何処かに行けるような場所にいる。


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