藤色関係もよう
あの頃のわたしたち、わたしと奈緒子、そして鈴音は三人でバンドを組んでいた。
わたしはベース、奈緒子はギターボーカル、鈴音はドラム、
同期バンドではなくて、奈緒子が社会人一年目で鈴音はわたしの一つ下、三年生だった。
同じサークルに所属をしていたが、もともと仲が良かったわけではなくて、お互いが上手だと思っていたこと、
3ピースのガールズバンドを組みたいと思っていたこと、がたまたま飲み会で発覚、
つまり、お酒のノリでわたしたちはバンドを組み、まあそこそこの評判となっていったのだ。
お互いに好きなバンドも違えば、好きな食べ物も色も、ファッションも、
価値観も、出身地も、生活リズムも、年齢も、
綺麗に重なることはなかった。
三人で組んだ後も、特別仲が良くなるわけでもなく、
女の子特有の2対1になることもなく、
音楽を創るために集まり、後は適当というスタイルでわたしたちは関わっていた。
音楽が好きなこととお互いが過干渉でなかったのは数少ないわたしたちの共通点である。
あのときの本当に「たまたま」の飲み会がなければ、わたしたちはバンドを組むことはなかっただろう。
そんなへんてこなバランスがわたしたちの音楽の魅力だったとわたしは思っている。