藤色関係もよう


そして、そんなへんてこな関係なままバンド活動は続き、

春の新入生歓迎の飲み会で結成してから二年とちょっと、
丁度学校以外にも評判が入道雲のよう、もくもくと広がり始めた8月21日、

わたしの誕生日の前日、のよる、



わたしは奈緒子の彼氏と関係を持った。



奈緒子の彼氏は風太郎先輩といって、建築学科の大学院生二年生、24歳、留年していたので社会人一年目の奈緒子より年は2つ上だった。


わたしたちと同じサークルに所属していた先輩はカッコいいけれど、どこかぼーっとしている。ようにみえて、
学園祭前にトラブルが起こって、困って、どうしようもないときにはふらっと現れて、サークルの代表よりも頼りになってしまうような、
とにかく全く掴めない、不思議で、でもみんなから慕われている人だった。



奈緒子は華奢で小さくて、かわいい見た目に似合わず、
演奏は激しく三人のなかでも最もタフで、
意志の強い目をしていた。

実際に強いのか、当時は彼女の強い意志を音楽以外に感じたことがあまりなかったが、
演奏中の彼女の目を見れば、強い芯のある女の子であることはすぐにわかった。

何が言いたいかというと、とても彼女は見た目も中身も魅力的だったのだ。






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