藤色関係もよう



奈緒子と風太郎先輩。


みんなが憧れる組み合わせのベストカップルだった。





どうして風太郎先輩と身体を重ねることになったのか、


あまり覚えていない。



というよりは、何も考えていなかった。

わたしは未熟で、ピーマンのように中身はすっからかんだった。



先輩は先輩で、実体は成していても包丁できると、
ふかふかしていまいち切った実感が湧かないナスのようだった。


実は、前からずっとずっと、好きだった。


というわけでもなく、



たまたま、サークルの溜まり場に一人でいたわたしを先輩は居酒屋に誘い、


二人で良い感じに酔っ払って、


わたしは丁度彼氏と別れたばかりで、


先輩の家に休憩するために上がって、


求められて、


なんだか気持ち良くなってしまって、


身体を許した。すんなりと。




行為のあと、先輩に、

「どうして奈緒子と関係のあるわたしと?」


と聞くと、先輩は煙草をベットに腰掛けて吸いながら、

「歩ちゃん色っぽいし、顔が大人っぽくてキレイだから、好みだったんだよね、はじめから。奈緒子は素直だけど、色気ゼロだろ。身体の相性あんまよくないし、性格も真っ直ぐでたまにキツいなって思う。」

と苦笑いをしながら言っていた。

最後のが本音だな、とぴーんと分かった。



先輩の部屋は、香色や小豆色など、落ち着いた色ででまとめられていて、なんとなくだけど奈緒子が部屋をコーディネートし、片付けているのかなとおもった。






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