藤色関係もよう
じゃあ別れれば良いのに、と言うと、
「なんか、自分から別れようって言えないんだよね。絶対奈緒子は泣くと思うし。
女の子の泣いた顔ってなんか苦手で、得意なヤツなんていないと思うけど。
それに悪者にされる感じがして、ヤダ。」
先輩らしいな、とも思ったし、
なんだかとても気持ちがわかったというか、共感した。
「わたしは先輩みたいに恋人がいるのに自分からえっちしたりは絶対に、しないし軽蔑するけど、ちょっとわかります。その気持ち自体は、」
「はっきりいうね、」
と先輩は苦笑い。そして、
「でも、そんなはっきり否定するくせに、俺の気持ちは分かってくれて、身体を許してくれる歩ちゃん、やっぱり最高に好みだわ。」
といって、わたしに体重をかけてきて、
耳に、首筋に、鎖骨に、
唇をおとしていく。
たぶん、似た者同士。なんだなと思った。
先輩は細くてひょろひょろしてると思っていたけれど、
いや、実際にお腹とか腰とかは女の人のように細かった。
だけど、広い背中やゴツゴツした肩甲骨、
大きい手のひら、心地良く少し苦しい重み、
わたしよりもあったかい体温に包まれ、
男の人っぽさを強く感じて、
久しぶりにとてもどきどきと心臓が煩く鳴っていた。
嫌な予感がした。とても、