銀髪と呪眼と赤い外套~夢の競演特別編~
上空へと飛び上がった乙女の狙いはただ一つ。

ゴーレムの肩の上にいるガーラだった。

ゴーレムもこの攻撃には意表を突かれたのか、ガーラの防御には回れない。

「ガーラ、その首級(くび)とった!」

乙女のカタナが、無防備な老魔女の脳天目掛けて振り下ろされる!!

しかし。

「なっ!?」

乙女のその刃は、ガーラに届く直前で不可視の壁に阻まれた。

「ふぅ…危なかったよ…全力の障壁でやっと防げるほどの威力とはね…」

心底命拾いしたように、ガーラが溜息をついた。

そう、ガーラも四門メグと同じ魔女。

身を守る為の障壁を持っていたとしても何ら不思議ではなかった。

機転を利かせた乙女の奇襲は、失敗に終わったのだ。

そして。

「ぐぁっ!」

逆に空中で無防備になった乙女の体を、ゴーレムが掴み取る!

「くくくく…とうとう捕まえたよ、乙女…」

ガーラが低く笑い声を上げた。

その心中を表すように。

「うぐ…ぐぁぁあぁあぁぁぁあっ…!」

ゴーレムはその巨大な手で乙女の体を締め上げ始めた。

一思いに握り潰すのではなく、ジワリジワリと、嬲り殺すように。

…メキメキという音がここまで聞こえる。

恐らくは、乙女の纏っている甲冑の砕ける音。

だが今度あの音を立てるのは、乙女の全身の骨だとしてもおかしくはない…!




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