もう一度。再び。
やっぱり、そうなんだ。
所詮、“人生で一番愛した人”よりも、
“人生のゴールテープを共に切った人”なんだ。
ー亜蓮くんじゃ、ないんだ。
私の運命の赤い糸の相手はあくまでも主人であって、亜蓮くんじゃないんだ。
そりゃあそうだ。あっちがどうであれ、こうであれ、
私は“既婚者”であり“人妻”なのだから。
おまけに、今は14歳の姿になっているけど、
中身は86歳のおばあちゃんなのだからー。

「奈子ちゃん?」
「あ、ごめん…」
いつのまにか流れていた大粒の涙をすべすべの手でぬぐいながら、平然を装うようにしてみた。
でも、ずっとずっと前から、喜怒哀楽を共に過ごしてきた相棒だからだろうか。
私の想いは見透かされていた。
< 4 / 5 >

この作品をシェア

pagetop