死神のお仕事
恥ずかしい。もう兎に角逃げ出したい一心でアラタさんと向き合っている状態からくるりと方向転換をした。そして慌てて一歩踏み出すとーーその瞬間、腕にグンとつっかえるような感覚。
…え?
振り返ると、私の腕をグッと掴んだアラタさんと目が合った。彼はその瞳で真っ直ぐ私をとらえながらも、表情には困惑の色が漂っている。
「…アラタさん?」
「…なんで謝られてるのかはよく分からないんだけど…でも嫌われてる訳じゃないんだよね?」
「へ?」
何の話だと、それこそよく分からない言葉に今度は私が首を傾げると、アラタさんは困ったような表情を浮かべながらもそっと微笑んだ。
「この間の話で嫌われちゃったんだと思ったから。良かった、そういう訳じゃないんだ」
…この間の話?あ、そっか。私、この間アラタさんの話を聞いてる途中からもう、ずっと上の空だったのかもしれない。それに帰っても良いよって言ってくれているアラタさんを拒否して、無理矢理残ったりなんてして…!
「ちっ、違います違います!嫌うとかそんなのじゃなくて、っていうかアラタさんには感謝してて!そのおかげで今こうして死神の事が嫌じゃ無くなったというか、だからもっと知りたいと思えたって…ていうかそれよりもまず謝らなきゃというか!」
「謝るって?」