死神のお仕事

気まずさからそっと俯くように視線を下ろしていき、掴まれたままの腕を見つめながら頭を下げた。

まだアラタさんの事が分からない私がこんな事をしても、意味なんて無いのかもしれないと思ったけれど、でも、謝りたい気持ちは本当だった。本当に意味なんて無くても、謝りたい気持ちだけは伝えたかった。

…けれど、アラタさんからは相槌が聞こえてきた他に、返事が無かった。そしてそのまま私の腕を掴んでいた彼の手が、スッと離れていく。


あぁ、怒ってるんだ。


怖くて顔が上げられない。


「…行こっか、あかりちゃん」

「……はい…はい？」


え？い、行こっか？


思いもよらぬ言葉に思わず顔を上げた先、アラタさんは微笑んでいた。


「回収、一緒に行こう？それでその後時間貰えるかな」


それはまた先程のような困っているような笑顔。でも…なんだろう、優しさが滲み出ている。優しい。優しく見守られてるような、そんな気持ちにある。それなのに何故か、有無を言わさないような強さも一緒に持ち合わせてる、というか…


「…はい」


自然と返事がこぼれた私は、隣を通り過ぎていくアラタさんに続いて、引き寄せられるように足を動かし始める。

ーーそれはまるで、死神に魅入られた人間のようだったと、思う。