死神のお仕事
答え合わせは終わり
「行こう」
私はその言葉に頷いて、アラタさんと共に歩き始める。
アラタさんは勿論見えないから問題無いけれど、私は外から見たらがっつり普通の人間だ。バレない距離をとりつつ、見失わない程度に彼女の後方をついて歩いた。
駅周辺の人混みを抜けて、住宅街へと続く道を行く彼女。彼女はすれ違う人達をぶつからないように避けるし、信号だって待つし、途中の自販機でジュースだって買う。彼女はどこからどう見ても普通の人間だ、私にはそう見える。
…でも、
「彼女の名前はカズサ。今は濱田 沙知」
「…え?」
隣を歩くアラタさんは、明らかに訳あり気な紹介の仕方をする。
“彼女が僕の生きる意味”
“今は濱田 沙知”
以前、アラタさんは死神になる事で生きる意味を貰ったと言っていた。
アラタさんは、その人と出会って死神になった。その人と出会ったから、死神になった。その人が今、目の前にいるのだという事は…
「それって…」
「うん。彼女と僕は、本当は逆だったんだ」