死神のお仕事

「…ふふっ、またね。あかりちゃん」


その瞳は優しくて、どこまでも穏やかだった。嬉しそうに小さく笑ったアラタさんに見送られて、私はまた仕事場であるサエキさんの部屋へと戻って来た。

パタンと、空間が繋げられたリビングのドアを後ろ手に閉める。


…あんな風に私にも笑ってくれるんだ。


思い浮かぶのは、先程見せてくれたアラタさんの笑顔。そういえば困った様に笑うアラタさんばかり見ていたような気がする。もしかしたら、少し近づけたのかもしれない。

私の方からだけでなく、アラタさんの方からも私との距離が縮まったのではないかと思ったら、すごく嬉しかった。

すごくすごく、嬉しかった。


「どうだった？アラタとのデートは」

「はい、えっと……んん？」


…そして、何気なく掛けられた声に普通に答えそうになって…あれ？と。

で、デート？

ていうか、え？なんで⁇


「なんでアラタさんの事知ってるんですか？サエキさ…、っ！ま、まさか…」


まさか？いや、そうだ。絶対そうだ！


「全てはサエキさんの差し金…！」

「差し金っておまえ…相変わらず俺に対して失礼な言い草だな」