死神のお仕事
急に回収に一人で行かされた先で、アラタさんと偶然遭遇したとばかり思っていたけれど、改めて考えるとそこがアラタさんの管轄だってサエキさんが知らない訳が無くて、回収に行っただけでこんなに遅くなる訳が無いのにそこに関してはノータッチで、むしろアラタさんの方を私と鉢合わせるタイミングで派遣したかもしれなくて、というかそもそもそこに行かせるようにオススメだなんて言ったのはサエキさんで…
うん、まぁあれだ。気を使ってくれたのだろうと思う。きっとそうだろう。最近の私がボヤッとしていたから、なんとかしようと考えてくれたのかも。
「うん、これで仕事も捗るよな。回収の仕方も覚えた訳だし、幅が広がった訳だし」
…うん、勘違いだった。決して私の為だけに動いてくれた訳ではなかった。だってなんだかすごくイキイキとしてスッキリとした顔をしているのはサエキさんも同じだ。むしろサエキさんの方だ。
「はぁ…」
思わず溢れてしまった、大きな溜息が一つ。やれやれと思う。サエキさんにはいつもこう、巧妙に操られているような気がする。
「でもまぁ、本当に回収してくるとは思わなかった。アラタの端末じゃなかったって事はおまえが自分でやったんだろ?」
「え?あ…一応…」
「一応?」
「……」