死神のお仕事


「いや、それなら納得だと思って。前回あんなだったクセにこうもあっさり回収してくるんだもんな」

「……」

「まぁよくある事だよ、初めての食事の後なんかは一番魅入られやすい」

「え、初めての食事…ですか?」

「あぁ。おまえこの間点滴打ったばっかだろ?だから身体が反応したんだよ」

「……」


…確かに、そう言われれば納得がいく。飢えていた所に初めて入って来た栄養分。それがまた目の前にあったなら自然と腕も伸びるだろう…とは、思うけれど…


「なんだ?納得いかない顔だな」

「…いえ、だってその…私は、人間としても受け入れてたから…」

「ん?」

「……」


そう。人間と死神の中間にある私だからこそ食べてあげるべきだと、あの時の私はそんな事を思っていた。そうなると先程の理由から考えた場合、人間の私も一緒に魂に魅入られていたという事になる訳で…


「…人間も、魂を食べたいなんて思う事、あります?」

「…人間が?」

「はい」

「…さぁ。まず見えねぇからな、向こうには」

「で、ですよね…」

「……」

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