死神のお仕事


でも普通の死神には交換出来ないとなると、二人はどうやって交換したのだろう。カズサさんも諦めていた願いだってアラタさんが言ってたし…ん?


「あの、もしかしてなんですけど…」

「……」

「普通の奴は出来ないって事は、普通じゃない人には出来るんですよね?それってつまり…」

「もうしない」

「…え?」

「あれっきりだ。もうする気はねぇし、今回でもう最後」

「…こ、今回?」


って、何の事?と、聞こうとした瞬間、 聞こえてきたのは、大きな溜息。


「おまえの人生でもう最後だ、人の魂に関わるのは。これ以上は背負えない」

「…背負う…」

「そ。覚悟がなきゃ出来ねぇよ、前回も、今回も。だからおまえらの命は俺が責任持つ」


「もうこりごりだよ、本当」なんて言って、サエキさんは笑った。軽く笑って、さっさと帰れと私に告げた。冗談っぽく、深い意味も無さそうに言うと彼は私に背を向け、パソコンの方へと向かって行った。ーー命の責任を持つ、なんてあまりにも重い言葉を残しておきながら。

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