死神のお仕事
死神の彼が使ったその言葉の意味の重さは、まだ人間の私には計り知れないものがあった。
けれど、普段あんな態度なのに、私に対してそんな事を思っていてくれたんだ、なんて思うと、何だか無性に嬉しさが込み上げる。でも、それと同じくらいき、そんな覚悟をしてまでなんで?と、疑問に思う。なんで私だったのだろう、なんであの時助けてくれたのだろう。
でもきっと、その答えをサエキさんはまだ教えてくれない。何かがあったのかもしれないし、無かったのかもしれないけれど、きっと今の私が何を聞いても知れるのはここまでで、サエキさんについて話してくれるのもここまでだと思った。勿論、以前からうやむやにされているサエキさんが特別な理由についても然り。
それはきっと、まだ私が話すに値しない存在だからなのかなと、なんとなく思う。まだ死神としての言葉の意味も分からなくて、ただの責任感から保護されているだけの人間だから。だからサエキさんは私に言わない。そんな無意味な事をきっと彼はしない。そんな気がする。
もし死神として立派になったら、サエキさんの言葉の意味がちゃんと分かるようになるのだろうか。そうなったらサエキさんから私に話してくれる日が来るのだろうか。
…私も、ちゃんと死神になりたい。
アラタさんとサエキさん、二人を知って抱いた決意は、固かった。