死神のお仕事


すると目の前の彼が、口を開いた。長めの前髪から覗く真っ黒な瞳でジッと私を見つめながら。

…決断しない私を見て焦れったく思ったのだろうか。なんだろう、だから来いと、その言葉は迷う私の背中を押しているーーそんな気がした。

意味も分からないこの人の言葉なのに、何も教えて貰えた訳でも無いはずなのにその言葉は、私の最後の後押しをする。


…行こう、生きよう。死神でもなんでも良い、母の為に生きるんだ。



それが私の、私達の意味なんだ。



「生きる…死神になります」

「…良いんだな、それで。後には引けねぇぞ?」


最終確認のその言葉に力強く頷いた私を確認すると、彼はニヤリと笑った。そして告げられる。


「まぁ使えるだけ使ってやるから安心しろよ。暇はさせねぇから」

「…え?」


その言葉に一瞬気を取られた隙に、私の胸の辺りにズボリと勢い良く腕が突き刺された。誰のものかって、もちろん目の前の彼のものだ。


「! っ、」

「我慢しろ。すぐ終わる」

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