死神のお仕事
突き刺される時の穴を開けられる痛みは不思議な事にまったく無かった。でも今、腕が私の中に侵入したのは紛れも無い事実。
突き刺さっているという目で見た現実のままに、中で何かの感覚…違和感、異物感がある。苦しい。そして何より、熱い。
熱い、熱い。
内側からやって来る熱さが尋常じゃない。血液の代わりに熱して溶かされた鉄でも巡っているかのようだ。それなのに差し込まれた腕は異様なまでに冷たく、まるでドライアイスのよう。
冷たさ通り越して勘違いしてるのか、それともただ本当に熱いのか、もうよく分からなくなってきた。何かが邪魔して呼吸を上手くさせて貰えず、朦朧としてきた頭の所為で感覚も麻痺してきてるのかもしれない。
あぁ、い、息が…苦しい…出来な…っ、
「し、…んじゃ、う、」
必死に目の前の彼へと縋った腕はもはや感覚が無くて、声だって掠れてカサカサとしか出てこなかった。…でも彼はそんな私の心配はおろか、気にすらかけてはくれないらしい。
縋った先。汗一つかいてない彼から無言で返って来たのは、何も見せない残酷な視線だけだった。