死神のお仕事


訝しむ、金髪の人。…確かに、部下として使うつもりだったなら死神にしてしまった方が何倍も楽だったはずだ。でもサエキさんはあの時、私を完全に死神にはしなかった。

チャンスは何度もあったはず。生き延びさせてくれた時だって、契約書のサインの時だってどうにでも出来たはずなんだ。私自身、死神になったものだとばかり思っていたし…でも蓋を開けてみると、私は死神と人間の半分ずつを持つ存在になっていた。

…やっぱり、食糧と思われても仕方ないのかもしれない。というか落ち着いて考えてみるとその方が自然に思う。何故サエキさんは私を…なんで私は人間のまま、彼のもとにいるんだろう。なんで私をこうして生かしてくれたんだろう。


すると、サエキさんは小さく笑った。ふっと鼻で笑うようなその笑い方は…一体どういう意味?私には分からない。


「賭けたんだよ」

「…え?」

「賭けたんだ、その結果がこいつだ」

「……は?」

「だからこいつはこれで良い。というか、どんな形でも良い」


そして、どこか誇らしげに、「らしさを無くさないでくれれば、それで良いんだ」ーーなんて、彼が最後に続けた言葉はそんな言葉。

その言葉が聞こえてきた瞬間、私は…震えた。その温かさに確かに胸が震えたのだ。

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