死神のお仕事
…見つめてはいけない。
絶え絶えの意識の中、このまま深く沈み込んで行ってしまうような気がして、私はその向けられた視線の元、黒い瞳から目を逸らした。
さっきまでは気づか無かったのに、朦朧とする意識の中での私には、彼の瞳の色の無さが際立って見えた。
黒い。真っ黒なそこはただ暗い。暗くて、深くて、光が差し込まない。
…あぁ、そうか。
それが目の前に立つ彼を人間ではないと、理解した瞬間だったのかもしれない。
彼はーー死神だ。
「終わりだ」
その声を耳にした瞬間、私は最後の意識を手放した。