死神のお仕事
面倒臭がらずに戻るべきだと、戻るのが最速で正しい選択だと決めた私は、ここまで来るのに使った扉、今回は建設途中の何かの店舗まで足早に戻った。そして端末で空間を繋いで、のこのこと戻って来てごめんなさいと思いつつ、サエキさんちのリビングのドアから顔を出すとーー
「す、すいません、ちょっと忘れ物しちゃって…へ?」
ーー今回の念には念を入れた選択は間違いだったと、気付かされた。
というか、ツイてないのだから念を入れようとする方が悪い方向にいくのかもしれない、もうそうとしか思えない。そしてやっぱり私はツイいない。
「あっ、あかりだ」
いつものリビングには何故か金髪の人が一人。
見覚えのあるその人はーーセナさん。間違いなく例のセナさんが、一人いつものソファで寛いでいる所に、のこのことやって来てしまった私がここに居た。
「な…な…っ、」
なんであなたがここに⁈
心の中では叫んでいたのだけれど、現実の私は口をパクパクとさせるのみ。対峙した目の前のセナさんがニヤリと微笑みを浮かべたのを確認して、私はピシリと身体が固まった。
あ、私…食べられちゃうのかもしれない。
彼の瞳は一瞬にしてそう悟らせるように、あの時同様にギラリと鈍く光っていた。