死神のお仕事
もうスマホはいい!とにかくここを離れよう!と、ハッと我に帰った私は慌てて端末をドアの方へ向けた。
「あぁやっぱり。オレのとこだ」
途端、手元にあった端末が背後から伸びてきた手にサッと取られて、今ではセナさんの手の中に。あまりにも鮮やかに一瞬で奪われてしまった為、思わずポカンと眺めてしまって、ハッと我に帰る。
「かっ、返してください!」
「なんで?いいよ、後で行くから」
「~そうじゃなくて!」
「? 何?」
「何って、だって…っ、」
あなたと居ると危ないから、だから今すぐここを離れたいんです!…なんて、そんな事は口に出せない。言える訳ない。余計に火をつけちゃったら元も子もない。
ど、どうしよう…なんだか振り出しに戻った様な気持ちだ。
「だって?」
「だって…その…」
「うん?」
「その…」
そろりそろりと、ジッと向けられるセナさんの視線から逃れようと目を逸らした。前かがみになってこちらを眺めてくる彼は、なんだか毎回やけに距離が近い気がする。
だから危ないんだよ、怖いんだよ…どう考えてもそういう事だ。あなたの頭の中、きっとそれしかない…!
「た、食べられそうで怖いんです!」