死神のお仕事
先程まであれ程冷たかったセナさんの唇。それがじんわりと熱を持っていく様に、温かく、そして熱くなっていく。けれどその反対に、私の身体はどんどんと熱を奪われて、頭がぼんやりと、思考に靄がかかってく様な感覚に陥っていって…
クラクラ…グラグラ…そうだ、私はこの感覚を知っている。この感覚は確か、ご飯が食べられなくなった私が倒れた時の…エネルギーが足りなくなったあの時の感覚と全く同じだ。
ガクンと、足の力が抜けた瞬間、熱い唇が離されて、倒れる身体を彼の腕に支えられた。
「はぁー…」
何やら含みのある溜息が聞こえてくる。甘い様な、重い様なそれはまるで、芳しい香りを胸一杯に吸い込んだ時の様な、少女が想い馳せている時の様な、そんな溜息に似ていた。
「…ねぇ、どうだった?」
全身の力が抜けてしまった私をその腕に抱えて、彼は私の顔を覗き込みながら甘い声で尋ねてくる。
「こんなに美味しいなんて知らなかったな。少しにしたつもりだったけど、つい食べ過ぎたね」
愛でるように私の頬を撫でると、うっとりとした表情で私の瞳を見つめてくる。
「…もっと欲しいな」